俺様野郎とパシリなあたし
間抜けな顔して聞くあたしに、蓮の視線が突き刺さる。
「今日の夕飯の時、明菜泣いてただろうが」
ワントーン落とした声が耳に伝わり、カップを持つ手の感覚が無くなった。
「ち、稚恵さんの料理美味しかったし…久しぶりに人が作ってくれたご飯だったから」
うまく動かない唇を、一生懸命動かせる。
蓮が、どうしてこんな事を聞いてきたのかは分からない。
だけど今思えば、蓮はあの時、あたしの中にある難しい感情を、感じ取っていたのかもしれない。