俺様野郎とパシリなあたし





「お前が良かったんだよ、バカ」


「…え?」


眠気も吹き飛んで、蓮の背中に乗せていた体重を離す。


ガシッと腕を掴まれて、どうやら逃げることは許されないらしい。


蓮のあの何でも見透かしてしまいそうな瞳が、あたしの姿を映し出す。


―――キュッ…


また、あの胸の痛みがあたしを襲った。


「ニャー」と、静かになった部屋に、アンの鳴き声が響いた。







< 523 / 769 >

この作品をシェア

pagetop