俺様野郎とパシリなあたし






その時だった。


「ちょっと、痛い!」


―――ガツッ!


もう少しで引き上げられそうな女子生徒の脚が肩を蹴ったせいで、あたしの体は後ろへとのけ反った。


「きゃ…」


…落ちる!


短く発した悲鳴も、周りに聞こえないくらい小さい。


目を丸くさせた蓮が、どんどん遠くなって…


この光景が、嘘のようにスローモーションで見えた。





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