俺様野郎とパシリなあたし






「逃げるんですか?」


「え…?」


不意に発せられた蓮の言葉に、お母さんの動きが止まった。


…と、同時にあたしの素っ頓狂な声がその場に響いた。


どうして蓮がそんな事を言ったのかは分からない。


だけどお母さんはこっちを見ていて、


「逃げないで下さい」


いつも俺様なのに、好き勝手やってるくせに、


「コイツ、すっげぇ苦しんでます」


今横で、全然使った事ないだろう微妙な敬語を話す蓮に、胸がキュウッと痛んだ。






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