俺様野郎とパシリなあたし
暖かい、力強い腕はあたしを安心させた。
だけど同時に、深い疑問を作った。
「紗枝…さんは?」
ハッとなり離れたあたしに、あの悪戯っ子のような蓮の表情が浮かぶ。
彼がこんな顔をした時は、必ずと言っていいほど、ろくな事がない。
「紗枝、そこにいんだろ?」
あたしから目線を外し、門へと向けた蓮の視線を追う。
するとそこには他校の制服を着た女の子がいて、その姿を見るだけで、紗枝さんだと聞かなくても分かった。