副社長には内緒☆番外編☆
やばい!なんでこんな日に、こんなところで……。

内心焦っている俺に構うことなく、妖艶な微笑みを湛え元カノの麻美は俺たちの前で立ち止まった。

平静を装ってはいたが内心焦っていた。
告白するつもりで予約したレストランでまさか元カノに会うことなど想定してない俺は、「こんばんは、じゃあ」それだけ言って立ち去るつもりだった。

「弘樹、待ってよ。ずっと会いたかったのよ」
チラリと香織を見て、笑みをもらすと麻美は俺の前へとやってきた。
香織ももちろん綺麗だが、麻美は俺より一つ年上で、香織とは違う大人の色気を全身にまとったような女だ。そう女という形容がぴったりだ。

麻美もこのビルの中のコンサルタント会社に勤めていて、何度か仕事で顔を合わせるうちに麻美から強引に押し切られるような形で付き合っていた。
しかし、俺は仕事ばかりしていたし、どうしても好きと言う感情が持てなくて俺から別れた。

それが半年ほど前の話だ。
下手に、香織に元カノという事もバレたくなかったし、とりあえずこの場から去りたくて、麻美に曖昧な笑みを向けた後、俺は「行こう」と香織に声を掛けて手を引いた。

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