副社長には内緒☆番外編☆
そこで私は急に思い至る。
料理もできず、家庭的でもなく、なんの取り柄もない私のどこを弘樹君は好きなのだろう?
彼氏の部屋に行って何もなかったのも、女らしい事が何もできなかった私に呆れたのではないのか?

いてもたってもいられなくなり、簡単に化粧をし、かぶるだけのワンピースを着て、慌ててカバンを持つと弘樹君のマンションへと向かっていた。


何時に帰って来るんだろ……。
弘樹君のタワーマンションの前に来て、25階の弘樹君の部屋のあたりを見上げた。
もちろん鍵もないし、コンシェルジュもいるこのマンションに入ることなどできる訳がない。
「ふぅ……」
大きく息を吐いて、マンション前のベンチに座ると携帯を眺めた。
20時を回っていた。

仕事中に連絡なんてしたら、また子供だなって思われるよね……。
それに思い立って来てしまったとはいえ、この格好はないよね……。
いつものデートの時とは別人だよ。私。
大人っぽく見られたくて、デートの時はいつもかなり頑張っていた。
自ら迫る計画をしていたはずなのに、今の私の姿はありえないよね……。
こんな姿じゃ、迫れるものも迫れない。

涙が目に溜まるのを感じた。
なんでこんなに不安になってるんだろ?
弘樹君はいつも優しくて、なんの不満もないのに。

帰ろう!
そう思ったその時、
< 23 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop