副社長には内緒☆番外編☆
「香織?」
その声にふと、顔を上げると驚いた弘樹君の瞳とぶつかった。
無言の私に、慌てて弘樹君が近くによって私の顔を覗き込む。
「どうした!何があった?香織!?」
私の顔がいつもと違う事に気づいたのであろう、弘樹君はかなり慌てた様子をみせて、私の腕を取って立ち上がらせた。
「とりあえず、部屋にいこう?」
こんな時でも、疑問系で私の様子を気にする弘樹君に不安を通り越してイライラしてしまう。

黙り込んだまま、手を引かれてエレベータに乗り、弘樹君の部屋まで来た。

玄関で立ちすくむ私に「入って?」心配そうな、不安そうな瞳で言われて私はギュッと手を握った。

「なんで?」
静かにそれだけを発した私に、弘樹君は訳の分からないと言った顔をして私の前まで来た。

ドンっと弘樹君の胸を押し、壁に押し付けるようにして私は俯いた。
私よりかなり大きい弘樹君を、いわゆる壁ドンはできなくて、とりあえず力任せに押し付けた。

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