副社長には内緒☆番外編☆
「え?まさか覚えてない?本買って、ランチ買ってここで二人で食べながら話しただろ?」
(そうだ、久しぶりに外でゆっくりとランチができてうれしかった日だ。誠と少しだけ親密になって、抱きしめてもらった場所……)
「あっ、思い出した、思い出したよ」
急いで言った莉乃に、誠は小さくため息をつくと、「日葵、ママはパパとの思い出を忘れてる」というと拗ねたように言った。
「誠、ごめんね、ごめんね」
そんな誠に必死に謝る莉乃に、誠は莉乃には見えないところでクスリと笑った。
「許してほしい?」
「うん」
「じゃあキスして」
(え?キス?)
「は?何言ってるの?こんな外で、それも日葵も見てるのに……」
慌てふためく莉乃に、誠は日葵の視界をそっと片手で遮り、もう片方の手で持っていた雑誌で二人を隠すと、チュッとリップ音を立ててキスをする。
「許したよ」
そう言ってケラケラと笑う誠に、莉乃は真っ赤に自分の顔がなるのがわかった。
「ここから先は、夜のお楽しみにしておくよ」
「誠!」
いまだに笑い声をあげる誠と「もう」と軽く睨んだ莉乃のところに日葵が突進してきて、二人は日葵を抱きしめた。