そんなアイツが好きだから~幼なじみと恋の決戦~
そうやって一気に解き放とうとした刹那。
言うより先に聞こえてきた言葉によって、それは幻になってしまった。
「待て」
「えっ……?」
「やっぱり先に言いたいことができた」
そんな声と同時に、グイッと掴まれた腕。
意味わかんない。
言いたいこと?
頭で考えても、全く答えに辿り着かない。
それどころか、どんどん脳内が乱れていくだけ。
なのに狼狽えるあたしなんて置いてけぼりで、怜佑は強ばった顔をしながら言葉を続ける。
「ムカつくから一回しか言わんからな」
「あのっ、怜佑……?」
「お前が誰を好きでもな、そんなん知らんねん」
「えっ」
ちょっと待ってよ。
「ねぇ、怜佑……!」
パニックに陥ったあたし。
そんなあたしの耳に、次に届いたのは──。