そんなアイツが好きだから~幼なじみと恋の決戦~
「梓、俺はお前が好きみたいや」
「……へ?」
嘘みたいな言葉だった。
「怜佑?」
あたしのこと好きって、今そう言った?
「……まあ、それだけや」
ボーッとしていると、怜佑がパッとあたしの腕を離して言った。
それだけって……それに。
「その、好き〝みたい〟ってどういうことよ?」
「……そんなん俺も知らん。……今日気づいてんから」
「今日!?」
「……悪い?」
あたしが詰め寄ると、怜佑は気まずそうに頭をかいた。
……悪くは無いけど。
「そっかぁ」
その様子を、あたしは瞬きもせずに一点に見つめてしまう。
……怜佑があたしを好き。
正直そんなの都合のいい夢みたいで、まだ信じられない。
信じられない、はずなのに……。