そんなアイツが好きだから~幼なじみと恋の決戦~
「お前、あとで覚えとけよ」
「そんなこと言う人は傘から追い出すからねー」
「なっ、それは狡いぞ」
持ってくれてた傘の柄を奪い返そうとしたら、怜佑のヤツが必死になって阻止してきた。
と思えば、そのままあたしの手が届かない位置まで高く掲げて。
「ちょっと、それじゃ傘さしてる意味ないじゃん!」
「誰かさんが無理やり取ろうとしてくるからやろ?」
「ねぇそれ誰の傘だと思ってるの?」
さっきまでいい感じだったのに。
またいつものあたしたちに戻っちゃった。
……でも、それでいいんだ。
だってあたしは──。
鈍感で、口が悪くて、意地悪で。
だけど、たまに優しい。
そんな幼なじみが
……好きだから。
-End-