そんなアイツが好きだから~幼なじみと恋の決戦~


「な、ナツ! いつからそこに!?」

「なんやねん吉野! 気色悪い顔して」


にやにやと大きな目を三日月形にしてそこに立っていたナツの姿を見るや否や、一瞬にして全身から冷や汗が吹き出した。


「べっつにぃ〜? 随分とお熱いようで」

「っ! もう、怜佑のバカ!」

「は!? 元はと言えばお前が……!」


恥ずかしくて堪んない。

そんな中、また図らずも喧嘩を始めることになったあたしと怜佑を横目に、


「じゃーな。俺先行ってっから、二人で仲良くしろよなー」


なんて叫びながら、元凶であるはずのナツが逃げるように去っていった。


「なんやねんアイツ」


妙なものを見るような怜佑の顔に、つい笑ってしまう。

ほんっと、ナツってば不思議。

いっつも空気を掻き乱してさ?

呆れてもう、喧嘩どころじゃないや。

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