そんなアイツが好きだから~幼なじみと恋の決戦~


『梓せんぱ〜い!』


ぴょこっとドアから顔を出しあたしを呼んだ美保ちゃんに連れられ、人気のない廊下に来たんだけれど。


「告白してないって、本当?」

「はい。……というか、できなかったんです」


……どういうこと?

思いもよらない言葉の連続に脳が追いつかず首を捻る。

そんなあたしに美保ちゃんはクスッと笑ってから続けた。


「チョコ渡して、告白しようとしたんです。ちゃんと。でも……先に滝川先輩に質問されちゃったんで」

「質問?」

「はい。『毎年チョコ渡しとるヤツに作り忘れることってあるんか』って」


え? それって……。


「私、すぐにぴーんときちゃったんですよね。絶対梓先輩のことだって。だからちょっと、意地悪言っちゃったんですけど……。よかったです。お二人が上手くいって」

「え?」

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