そんなアイツが好きだから~幼なじみと恋の決戦~
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今日もテスト前だから学校はお昼までで、部活も休み。
4時間目の授業が終わったあとは、もう帰るのみだ。
「またね、梓ちゃん」
「うん、またね」
王子と仲良く帰っていく後ろ姿を眺めながら、ふとこんなことを思う。
あたしも怜佑と、二人みたいに素敵なカップルになれたらいいな……なんて。
今はまだ手を繋ぐくらいしかしてないけど、この先もっと恋人らしいこともしちゃうかもしれないんだよね、あたしたち。
考えただけで熱が上がっちゃいそうだ。
この前までは、ただの幼なじみだったのにね。
昨日からあたし、怜佑の彼女に──って。
……ん?