そんなアイツが好きだから~幼なじみと恋の決戦~
「……まあいいけど、なんかあるん? 3人で集まって」
「えっ」
「一ノ瀬と椎名、2人でどこか行くらしい」
何故か固まってしまったあたしの代わりに、王子が答えてくれた。
「……なるほどな。朝一緒に帰られへんって言っとったけど、そういうわけか」
「そうそう! なずなとこれからバレ──」
あ。
「──遊びに行く約束してて!」
やばあ!
バレンタインの材料買いに行くことは、怜佑には絶対秘密のつもりなのに!
うっかり口を滑らしたあたしは、ドキドキと薄目で覗いてみる。
……怜佑、気づいてないかな。
すると見えたのは、
「そうなんや」
何故かニッコリとした笑みを纏った顔。