そんなアイツが好きだから~幼なじみと恋の決戦~
「あのっ、私梓ちゃんと……」
「一ノ瀬は俺といたくないの?」
きゃ〜!
なにこの甘酸っぱい感じ……!
いつも以上に強引な王子に、胸きゅん少女漫画でも読んでるみたいな気分になる。
なずなも真っ赤になって俯いてるし。
かーわい〜!
……って、そうじゃなかった。
「ごめんね、憐くん」
ちょっと、からかいすぎちゃったよね。
ちらり窺うように上目遣いで見上げる。
「いいよ、別に」
すると、すぐに許してくれた王子。
その優しさに「ありがとう……!」と手を握ったのも、束の間だった。
「……その代わり、一ノ瀬はもらってくけど」
「は、はい」
ぬ、抜かりな〜!