そんなアイツが好きだから~幼なじみと恋の決戦~
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ドキドキ、ドキ。
取り残されたあたしは、とりあえずカフェを出て近くのベンチに座ったのはいいものの、なんとなーく気まずい気持ちでいた。
原因は、となりのコイツ、怜佑。
2人でお出かけすることなんて、今まで何回もあったのにな。
やっぱりあの日から変に意識しちゃって──。
「そんなにいっぱい何買ったん?」
「えっ、ああ」
……そっか。
怜佑の視線の先には、あたしのぱんぱんに膨らんだエコバッグ。
てっきり見られてると思ってたけど、何を買ってるかまではわからなかったんだ。
「ちょっと、お菓子作り始めようと思って。その材料だよ」
『そんな嘘であたしを騙せると思ったら大間違いだからね!』
そう言った手前、嘘つくのはなんとなく気が引けて、出たのはそんな言葉だった。
これなら、ホントのことだし。
バレンタインのってことはもちろん内緒だけど。
「へぇ、そりゃ楽しみやな」
へ?
……楽しみってもしかして。