そんなアイツが好きだから~幼なじみと恋の決戦~


***



ドキドキ、ドキ。

取り残されたあたしは、とりあえずカフェを出て近くのベンチに座ったのはいいものの、なんとなーく気まずい気持ちでいた。


原因は、となりのコイツ、怜佑。

2人でお出かけすることなんて、今まで何回もあったのにな。

やっぱりあの日から変に意識しちゃって──。


「そんなにいっぱい何買ったん?」

「えっ、ああ」


……そっか。


怜佑の視線の先には、あたしのぱんぱんに膨らんだエコバッグ。

てっきり見られてると思ってたけど、何を買ってるかまではわからなかったんだ。


「ちょっと、お菓子作り始めようと思って。その材料だよ」


『そんな嘘であたしを騙せると思ったら大間違いだからね!』


そう言った手前、嘘つくのはなんとなく気が引けて、出たのはそんな言葉だった。

これなら、ホントのことだし。

バレンタインのってことはもちろん内緒だけど。


「へぇ、そりゃ楽しみやな」


へ?

……楽しみってもしかして。

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