そんなアイツが好きだから~幼なじみと恋の決戦~
バレンタイン
*
「わっ……さっむ〜い」
よく晴れた朝。
ガチャッと玄関のドアを開け外に出ると、冷たい風が一気に肌を突き刺した。
「……はぁ」
落ち着け、あたし。
さっきから……いや、昨日からずっとバクバクと胸が煩いくらいに鳴ってる。
だって今日は──……。
2月14日、木曜日。
バレンタインデー当日。
いよいよ決戦の時がやってきたんだから。
例のものは鞄の中にちゃあんと忍ばせてある。
昨日は部活も休みで速攻家に帰ったあたしは、すぐに今日のための準備を始めた。
練習の成果もあってか、作ったものは我ながら上出来。ラッピングも自分なりにしっかり可愛くできたと思う。
だからあとはもう……信じて渡すのみ。
……なんだけど。
やっぱり、緊張しちゃうよね。
何年も続けてきた〝幼なじみ〟という関係が、今日変わっちゃうかもしれないんだ。
アイツの答えがあたしにとってプラスでも、マイナスでも。