そんなアイツが好きだから~幼なじみと恋の決戦~


「憐くん、いつもありがとう」


この前怒らせちゃったお詫びも込めて、そっと差し出した。


「……ん。ありがと椎名」

「えっ」


席に座ったまますっと手を伸ばして受け取ってくれた彼の様子に、思わず声を洩らしてしまった。


わーーーっ。

うそ、王子ってこういう時ちゃんと〝ありがとう〟っていうタイプなんだ。

失礼かもだけど、なんかびっくり。


「なに?」

「う、ううん。別に。これからもなずなのことよろしくね」

「任せといて」


気を取り直して言ったあたしを、自信たっぷり顔が見上げた。


相変わらずだなぁ。


思わず関心してしまうあたしだけど。


あなたにだったら本当に任せられる。

そんな気がして堪らないんだ。

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