そんなアイツが好きだから~幼なじみと恋の決戦~


「……よしっ」


これで渡すつもりにしてた人には、全員渡せたよね。


あたしは空っぽになった紙袋を確認すると、それを畳んで自分の席へと向かった。

すると。


「……おい」


へっ?

いきなりぽん、と誰かの手が肩に乗った感覚がして反射的に振り返ったら──。


「怜佑!?」


びっくりしたぁ。いつの間に戻ってきてたんだろ。


「ん」


……ん?

なんとも言えない顔をしながら目の前に片手を差し出してきた怜佑に、あたしは険しい表情で首を傾げる。


「ほら」

「……ねぇ、なんなの」

「おまっ、鈍いなぁホンマに」

「なっ」


鈍いも何も、なんにも言わなかったらわかるわけないでしょ!

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