そんなアイツが好きだから~幼なじみと恋の決戦~
「だ、だってお前ら、部活終わった途端すぐ帰ってったじゃん? だから、その」
「気になってついてきたってわけね」
あたしが呆れたように呟くと、ナツは「なははっ」とぎこちなく笑った。
「でもまさか、二人でケーキ屋に寄るためだったとはなぁ」
「は? ちゃうちゃう」
へっ?
「俺はな? ケーキなんか、全っ然興味なかってんけど……」
なっ。
「梓がどーしても寄りたいーって、毎日毎日しつこく言うから、優しい俺がついてったることにしたんや。しゃーないなあって」
カチン。
「しつこくて悪かったわね! この鈍感バカ男ー!」
「はぁ? トロいお前に鈍感言われたないわ、ボケェ!」
「トロくない!」
「トロいわ。なかなか決められんくて、結局どっちも買ったん誰ですかー」
「くっ……」
なによ、怜佑のやつ。
そこまで言わなくてもいいじゃない……!
始まる睨み合い。
バチバチと散る火花。
互いに譲らぬ勝利の行方。
これは、言うなればそう──。