そんなアイツが好きだから~幼なじみと恋の決戦~
なんとなくの状況を話すと、なずなはよしよしと優しくあたしの背中を撫でてくれた。
「……でも滝川くん、急にどうしたんだろう」
ほんと、わけがわからない。
ちょっと前まで普段通りに喋ってたはずなのに、突然顔つきが変わって……。
「ちょいちょい、梓」
「ん、ナツ!? いつの間にいたの」
密やかな声と一緒にこそこそと身を縮めながら現れた彼に、あたしは目を見開く。
「怜佑となんかあった?」
「えっ」
驚きのあまり心臓がヒヤッとした。
なんでそんなこと……。
「や、それがさ。さっき怜佑に梓にチョコもらったって話したら、急に黙ってトイレ行っちまってよ」
……トイレ、かどうかはさて置き。
あたしの名前聞くだけで不機嫌になるってことは、相当あたしに対して怒ってるってことに違いない。