そんなアイツが好きだから~幼なじみと恋の決戦~
──そうして迎えた放課後。
まずは誤解を解かなきゃ、と立ち上がる。
「あのっ、怜佑」
「……なんや」
返ってきた言葉は、少し素っ気ないものだった。
だけど、確かに合った視線。
大丈夫と言い聞かせて、あたしは続ける。
「……まだ、怒ってる?」
「……別に。元々怒ってへんし」
あたしが窺うように見ると、怜佑は少し遅れて返事をした。
怒ってない。
本当にそうだったら、もちろんいいんだけど。
「もし嫌なことしてたらごめん。あたし、怜佑にずっと言いたいことがあって──」
そうやって、一気に言葉を吐き出そうとした途中のことだった。
「滝川せんぱーい!」
廊下の方から陽気な声が聞こえてきて、最後まで言い切ることを許してくれなかった。