ケーキ屋の彼

「それより、3人は進むの遅いね」


「写真撮りながら進んでるからかしら」


あくまでもマイペースの3人は、そのことを何も気にしていない様子だ。


その3人の様子を見て、柑菜は落ち着きを取り戻す。


ーーやっぱり、櫻子たちといるほうが楽しい……。


涼は、なにやら座り込み、小さい雑草をじっと見ていた。


「何やってるの?」


「なんか、葉っぱの模様が面白いなと思って」


柑菜も、同じようにしゃがみ、涼とは違う雑草をガン見する。


風に揺られたり、虫の通り道になったり、観察をしているとさまざまな物語を見ることができる。


涼とは違うけれど、確かにこうやって観察することは面白い。


「そろそろ進む?」


流石に遅すぎると思った柑菜は、3人にそう叫んだ。


散らばっている3人は、同時に「うん」と返事をする。


先ほどとは違い、3人と合流した柑菜は笑ったり驚いたりしながらこの散歩道を楽しんだ。
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