ケーキ屋の彼
「涼さん、いいですねその花火」
涼が持っているものは、線香花火を大きくしたようなもののスパーク花火。
線香花火よりも華々しく光が飛び散って、その場を照らす。
それはまるで、雪の結晶のような模様を作り出し夏の夜に輝いている。
その横で、秋斗も違う種類の花火を楽しんでいた。
「秋斗さんのも綺麗ですよ」
秋斗の持っている花火は、様々に色を変えながら燃えている。
変わっていく色に、目が離せない。
赤に黄色、淡い青色とこの夜の暗さに様々な色をもたらす。
2人の強い光を放つ花火は、あるものを引き寄せた。
「あ、虫だ」
2人が持っている花火の光に吸い寄せられるように、虫が寄ってくる。
涼はそれを見て、まるで美鈴に吸い寄せられている自分のようだと感じていた。