ケーキ屋の彼

「櫻子ちゃん、柑菜ちゃんこっち見て」


いつの間にかカメラを持った美鈴は、カメラマンかのように2人に指示を出していた。


カメラを通して、2人を見ている。


2人は、線香花火を持ちながらレンズを見る。


「うん、いいね」


美鈴はそういいながら、写真を撮っていく。


「次、双子さんも並んで!」


涼と柑菜を並べ、海をバックにシャッターを切った。


撮った写真を見て、「うん、いいかんじ」と自己満足する美鈴。


「先輩、見せてくださいよ」


「いいわよ」


美鈴がカメラの画面を涼に見せると、「俺、半目じゃないですか」と突っ込みいれる。


「撮るならちゃんと撮ってくださいよ、しかも海もほとんど映ってないじゃないですか」


そう呆れたふりをする涼に


「生意気な後輩ですこと」


と軽く流す美鈴。


そのやりとりを見ていた櫻子は「仲良しですね」と羨ましそうな顔をしていた。
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