ケーキ屋の彼

花火を終え、みんなは次の楽しみを堪能している最中だった。


「やっぱり夏でも温泉は最高だね」


櫻子の別荘には、少し広めのお風呂が2つあり、そこには最大で4人が入ることができる。


流れているお湯は、温泉だ。


緑の塀に囲まれ、上は屋根で守られており、そこの隙間から見える夜空には星が輝いていた。


また、波の音も聞こえてくる。


夜の波の音を聞きながら、夜空の下で温泉に浸かる贅沢なひと時。


「美鈴さんは好きな人いるんですか?」


女子4人が集まり、そのひと時の中展開するのは甘酸っぱい恋の話。


涼と秋斗がいない分、少しだけ話しやすい。


とはいうものの、壁の隣の湯船に浸かっているのだが。


それを知っている4人は、なるべく小さな声で体を寄せ合わせて話している。


「ふふ、どうかな」


否定をしない美鈴に、柑菜と櫻子は顔を見合わせて「いるわきっと」と盛り上がっている。


「私、柑菜ちゃんの好きな人は分かるなあ」


「え!?」


驚く柑菜の顔は、温泉の湯気で隠される。

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