ケーキ屋の彼
お風呂から上がった4人は、2階の部屋に戻らずにリビングに来る。
すると、すでに涼と秋斗はアイスを食べながら談笑していた。
「私たちも食べちゃおう」
冷凍庫の扉を開けた瞬間ひやっとした空気が伝わってきて、火照っている身体にちょうどよい冷たさ。
美鈴からアイスを受け取った柑菜は、迷った挙句涼の隣に座った。
自分なんかが秋斗の隣に座ってしまったら、思い合っている2人に申し訳ないと柑菜は思う。
柑菜は、それならせめて秋斗の姿を見るくらいはと思い、アイスを舐めながら美鈴と話している秋斗の姿を、涼と話しながら見るのであった。
その視線に気づいたのか、涼は「隣座りたいなら座ればいいだろ」と柑菜に耳打ちをする。
「そういう涼こそ美鈴さんの隣に座ればいいじゃない」
と、柑菜は意地悪そうな顔をして涼だけに聞こえる大きさでそういう。
それに対して、涼は言葉は発しなかったがじとーっとした視線を柑菜に送るのだった。