ケーキ屋の彼
6
「楽しかったね」
「だな、意外と楽しめた」
あの後アイスを食べた6人は疲れたのか、すぐに眠りについた。
2日目は特に何か特別なことをするまでもなく、穏やかな時間を過ごし、6人は東京に帰ってきた。
我が家に戻ってきた涼と柑菜は、とりあえずふかふかのソファに腰かける。
喉が渇いてはいるが、ソファから冷蔵庫の距離でさえ長いと感じてしまう柑菜は、涼に頼もうとした。
「ねえ、何か飲みたくない?」
柑菜が考えたのは、誘導作戦だった。
「うん、たしかに」
涼は、柑菜が思う返事をせず、ソファに寄りかかって動こうとはしない。
それでも柑菜は諦めずに、どうしたら涼が動くのだろうと頭を働かせていた。
しかし、柑菜は思う、自分で取りに行ったほうが早いのではないかと。
柑菜が立った瞬間「俺にも」と一言テレビを見ながら言う涼に、殺気を覚える柑菜。
しかし、喧嘩をするよりもとにかく何かを飲みたいと思っている柑菜は、出かけた言葉を飲み、飲み物を取りに行った。
冷蔵庫を開けると、炭酸水とオレンジジュースが一本ずつある。
柑菜は、大きめのコップを出して、それを1:1で割った。
これは絶対美味しいわ、とそれを一口飲む柑菜。
「ん~!! 生き返る~!」
ジュースが乾いた身体に染み込んでいくのを感じながら、柑菜はそれを一気に半分以上飲んだ。