ケーキ屋の彼
「ねえ、俺の分は?」
冷蔵庫のところで立ち止まっている柑菜を待ちきれなかった涼は、ついにその重い腰を上げて自ら飲み物を取りに来た。
「ごめんごめん、本当に喉が渇いてて、持っていく前に飲んじゃった」
涼は、半分以上無くなっている柑菜のグラスを見ると、それを手にし、残りのすべてを飲んでしまう。
「ちょっと!」
「おかわり」
それを言われた柑菜は、次は涼が作りなさいとばかりに、炭酸水とオレンジジュースをペットボトルのまま渡す。
そして、コップも1つから2つに増やした。
さらになにかを思いついた様子の柑菜は、冷凍庫を開け氷を取り出す。
氷をいっぱいに入れた2つの空のコップ。
涼はそれに、オレンジジュースと炭酸水を適当な割合で注いでいった。