ケーキ屋の彼

再びソファに座って、冷え冷えのオレンジの炭酸のジュースを飲みながら、だらーっとしている2人。


「そういえばさ、1日目の散歩してからお前なんか変だぞ」


疲れて忘れていたことを、柑菜が1番知りたくて、でも1番知りたくなかったことを亜紀から聞いたあの時のことがフラッシュバックされる。


「なんかあったんだろ?」


なんで、いつもいつもお見通しなのと、柑菜はジュースを飲む涼を見た。


「秋斗さん、…………美鈴さんのことが好きなんだって」


きっとこれ以上隠したっていつかはばれること、と柑菜は思い涼に正直に話す。


その声は、少し震えていた。


「え、それはないだろ」


しかし返ってきた言葉は、柑菜が予想もしていないものだった。


柑菜はてっきり、「そうか」や「まあ……な」と涼が言うだろうなと思っていた。


「でも、私そう聞いたよ」


「誰に?」
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