ケーキ屋の彼
豆菓子を食べながらのんびりしていると、柑菜のメールの受信を知らせる音が鳴る。
誰からだろうと思い、携帯に手を伸ばしその名前を確認した。
「え!?」
柑菜はそれを見た瞬間、なんだろう、どうして、と疑問で頭が埋め尽くされた。
とりあえず、中身を確認しなければ何も始まらないと、柑菜はそれを開く決意をした。
「あっ……」
そこに書かれていたのは、秋斗が言っていたチョコレート展のことだった。
社交辞令だとばかり思っていた柑菜は、秋斗の誘いがきちんとしたものであることを知り、急に恥ずかしくなってくる。
柑菜は、秋斗にメールを返した、ある1つの疑問を添えて。
「分かりやすっ」
柑菜の一部始終を見ていた涼は、柑菜のことを鼻で笑う。
「いちいち言葉にしなくていいから!」