ケーキ屋の彼
誕生日用のケーキが決まった後、2人はお互いに今日のお菓子用に、自分の好きなものを購入した。
柑菜が買ったものは、緑色と黄色のマカロン。
ピスタチオとシトロンの風味が広がる、小さな宝石のようなお菓子だ。
そして、もう1つは、ビターなチョコのタルト。
これは、柑菜の弟に買ったもの、今まで一度も買ったことがなかったけれど、今日はなんとなくそんな気分になった柑菜だった。
一方、櫻子が買ったものは、フランスの南にあるボルドーのお菓子であるカヌレだ。
家族にもと、5つセットのものを買った。
2人は、夕日に染められオレンジ色になった住宅街を歩く。
途中すれ違う高校生カップルや、部活帰りの野球少年の団体に、2人は青春を感じ取った。
そしてなんだか、懐かしさを感じる。
青春とは、甘酸っぱいケーキのよう。