ケーキ屋の彼
7
10月23日、天気は快晴。
柑菜は駅の改札口の近くでそわそわしながら秋斗を待っていた。
亜紀と櫻子に選んでもらった服装を身に纏い、自分に似合っているかな、と何度も確認する。
秋らしく、ボルドー色の膝までのスカートにベージュのブラウス。
丸1日かけて、亜紀と櫻子が柑菜のために考えてくれた服。
それを着ている柑菜は、いつもの彼女とはまるで違う雰囲気を醸し出していた。
「柑菜……さん?」
後ろから、名前を呼ばれた柑菜はゆっくりと振り向いた。
「なんか、その、……今日は雰囲気違うね」
柑菜の姿を見た秋斗は、柑菜から視線を逸らしている。
「あ、変……ですか?」
「全然そんなことないよ。ただ……なんだか緊張しちゃうなあと思って」
秋斗は、いつもよりも大人な雰囲気を漂わせる柑菜に息をのむ。
今まで可愛らしい妹みたいだと思っていた柑菜は、今日は1人の女性として秋斗の目に映っていた。