ケーキ屋の彼

涼は、泣いている柑菜を置いてリビングを出た。


そして、ある人に電話をかける。


「西音寺?」


「あら、どうしたの?」


「柑菜がさーー」


一通り話し終えると、涼は電話を切って、再びリビングに戻る。


柑菜の心が少しでも落ち着くように、ホットミルクを作った涼は、それを柑菜の元に置いた。


「ありがとう……」







数十分後、インターホンが家に鳴り響いた。


「……誰かな?」


「俺行くよ」


玄関の扉が開く音が柑菜の耳に聞こえる。


すると、「柑菜ちゃん、大丈夫?」と、柑菜のよく知っている人の声がした。


「櫻子……?」


「涼くんに電話で話聞いたの。それで、私心配で……」


柑菜は櫻子の姿が見えると、その姿に安心感を覚えぎゅっと抱きついた。


そして、その友達の胸の中で思いっきり泣くのだった。
< 147 / 223 >

この作品をシェア

pagetop