ケーキ屋の彼
涼は、泣いている柑菜を置いてリビングを出た。
そして、ある人に電話をかける。
「西音寺?」
「あら、どうしたの?」
「柑菜がさーー」
一通り話し終えると、涼は電話を切って、再びリビングに戻る。
柑菜の心が少しでも落ち着くように、ホットミルクを作った涼は、それを柑菜の元に置いた。
「ありがとう……」
数十分後、インターホンが家に鳴り響いた。
「……誰かな?」
「俺行くよ」
玄関の扉が開く音が柑菜の耳に聞こえる。
すると、「柑菜ちゃん、大丈夫?」と、柑菜のよく知っている人の声がした。
「櫻子……?」
「涼くんに電話で話聞いたの。それで、私心配で……」
柑菜は櫻子の姿が見えると、その姿に安心感を覚えぎゅっと抱きついた。
そして、その友達の胸の中で思いっきり泣くのだった。