ケーキ屋の彼
「涼くん、私今日泊ってもいいかしら?柑菜ちゃん、きっと1人じゃ心細いと思うの」
柑菜を思うと、櫻子は彼女を1人にはしておけなかった。
「うん……西音寺って、優しいんだな」
「柑菜ちゃんは、大事な友達だもの」
ニコッと笑いながら言うその言葉を聞いた涼は、櫻子の顔をじっと見つめる。
そして櫻子に対し「ありがとう」と一言言った。
櫻子の、純粋に友人を思う気持ちに、涼は少しずつその人柄に惹かれていく。
「柑菜ちゃん、お部屋行きましょう」
「うん……」
だいぶ落ち着いたように見える柑菜は、櫻子の腕を掴んでリビングを後にした。