ケーキ屋の彼
「うん、やっぱり似てる」
その目を見て、美鈴はそう言う。
「秋斗と柑菜ちゃん、会った時からなんだか似てると思ってて。きっと柑菜ちゃんなら秋斗の弱さを破ってくれるって思ってたの」
「そ、そんな」
まるで、この出会いが偶然ではなく必然であったかのように感じている美鈴は、ふふっと笑っている。
柑菜は恥ずかしさを隠すように、マグカップで顔を半分隠しながらコーヒーを啜る。
コーヒーは苦いのに、なんだか甘い。
それは、この前櫻子からもらったキャンディのように、柔らかく自然な甘さ。
「恋も、頑張ってね」
「それは美鈴さんもですね」
2人の笑い声が、この部屋中に響く。
窓から入ってから夕日の光が、2人の笑顔を照らしていた。