ケーキ屋の彼
困ったり喜んだり、様々な表情にくるくると変化する空に、柑菜は笑ってしまう。
「初めて笑った顔見た」
そういわれた柑菜は、なんだか恥ずかしくなり再び表情を硬くした。
「ねえ、友達になってくれる?」
少々強引だけどどこか憎めない空に、柑菜はその問いに「いや」ということができなかった。
「はい、いいですよ」
「ねえ、タメ語やめない? 友達なんだからさ」
「あ、うん」
空は、見た目だけじゃなくてその性格もどこか日本人離れをしていて、柑菜は空に対して底抜けの明るさを感じている。
まだ会って間もないのに、その距離を感じさせない空。
「柑菜ちゃん!」
離れたところから柑菜を呼ぶ櫻子の声が聞こえた。
「友達?」
空は遠くに見える櫻子を見て、そう尋ねる。
「うん、そうだよ」
櫻子は、柑菜のもとに寄ってきた。