ケーキ屋の彼
「そういえば秋斗さんは、お店があるから来れなくて残念ね」
櫻子の言う通り、今日は秋斗のお店が開いているため、学祭に来ることはできない。
秋斗に来て欲しいと思う柑菜だけれど、大学での自分の姿を見られるのも恥ずかしい。
大学での柑菜は、いい意味で素を出していて、秋斗の前では見せたことのない姿がある。
べつに、それがいけないことだとかそう言う意味ではないが、プライベートすぎる自分を見せるにはまだまだ気恥ずかしい。
秋斗の前では、もっと女の子らしくいたい、そう思う柑菜。
それに、学祭を楽しむ人々を見ると、あまりカップルの姿はなく、中学高校の生徒の団体や同性同士で歩く姿が多く見受けられる。
中にはもちろんそれらしき人もいるけれど、圧倒的にその数は少ない。
「櫻子がいるし、楽しいよ」
「あら、そう言ってくれると嬉しいわ」
2人は、今いる場所から移動してなにか飲食物を買うことにした。
今日はまだ大学に来てから何も食べていない。