ケーキ屋の彼
3人の話題は、ケーキの話から恋の話に移る。
「柑菜ちゃん、空って昔からいろんな人のこと惚れたって言ってたのよ。恋愛においては軽いイメージだわ」
「でも付き合った人数はそんなにいないよ、だから安心して、土橋さん…………いや、柑菜さん」
名前を呼ばれた柑菜は、一瞬ドキッとしてしまう。
「柑菜ちゃん、気にしなくていいのよ」
「う、うん」
そういえば告白されていたことを、柑菜は今まですっかりと忘れていた。
「櫻子は好きな人いないのか?」
「……いないわ」
好きになっても意味がない、誰に言うわけでもないが、櫻子は心の中でそう思う。
もし運良く付き合えたとしても、それは長くは続かない。
それなら始めから自分の中だけで終わらせた方が良い。
「櫻子も恋した方がいいよ、ね、柑菜さんもそう思うだろ?」
「うん……そうだね」