ケーキ屋の彼

次の日大学のラウンジで、櫻子と柑菜は2人で話していた。


近頃亜紀は忙しそうで、なかなか2人との予定が合わずにいた。


「それでね、秋斗さんにクリスマス誘われたんだ」


自動販売機で買った100パーセントのオレンジジュースを飲みながら、昨日のことについて語っている。


そのオレンジジュースと同じように、柑菜の恋の話は甘く酸っぱい。


「すごいわ、クリスマスを一緒に過ごすだなんて、恋人みたいだわ」


「でも……渡辺くんにもちゃんと言わないといけないよね」


せっかく自分を好きだと言ってくれた櫻子の幼馴染のことが、柑菜は心から申し訳ないという気持ちでいっぱいだった。


「空は大丈夫よ、気にしないで。彼もきっと分かってるから」


「……うん」


櫻子がそういうと、不思議となぜか安心できる柑菜。


柑菜はあとで、空にメールをしようと誓った。
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