ケーキ屋の彼

「それより、柑菜ちゃん、秋斗さんへのクリスマスプレゼントはどうするの?」


「何が良いのかな……秋斗さんが欲しそうなものって思い浮かばない」


パテシエの秋斗に甘いものを贈ることは到底有り得ないだろうし、かと言ってなにか残るものをプレゼントするにはまだまだそこまでの関係ではない。


柑菜はいろいろとプレゼント候補になりそうなものを考えているが、なかなか良いものが思い浮かばないでいる。


「柑菜ちゃんが選ぶものなら、きっとなんでも嬉しいはずよ」


「えへへ、そうかな?」


「きっとそう」と、櫻子は本当に嬉しそうな笑顔を浮かべて柑菜の話を聞いていた。


そんな笑顔を見る柑菜は、心の中にある疑問を櫻子に問いてみたくなる。


「櫻子は……クリスマスどうするの?」


「私は、亜紀と過ごそうかしら」


ふふっと笑う櫻子だが、柑菜はその笑顔を見ると心がぎゅっとなる。


きっと、好きな人と過ごしたいはずなのに、それを必死で抑えつけて……。


「じゃあ、24日に私の家でクリスマスパーティーやらない? 去年みたいに! 去年は櫻子の家だったけれど、今年は私の家にしよう」


それならきっと、涼と櫻子が一緒に過ごせるはず、そう柑菜は思う。
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