ケーキ屋の彼

柑菜は授業が終わると、すぐに帰宅をする。


既に暗くなっている時間で、家に着くと明かりがついているのがわかった。







「ねえ、涼は24日空いてる? クリスマスパーティーここでやろうと思ってて、涼とか美鈴さんとかも呼んでやりたいなあって思ってるんだけど」


涼が作った夜ご飯を食べながら、柑菜は早速クリスマスパーティーについて話していた。


今日の夜ご飯は、この寒い冬にぴったりのビーフシチュー。


冷たい身体に暖かいシチューが染み渡る。


「24? 今は特に用事ないな。なんなら俺が先輩に予定聞いておくよ。」


「そう? ありがとう」


柑菜は、あまりにもスムーズに会話が進み、少しだけ驚いている。


涼の顔を見ると、とくにいつもの表情と変わらず、なにを考えているのかがわかりにくい。


「涼って、まだ美鈴さんのこと好きなの?」


「なっ、なんだよ……」


急に恋愛話を振られた涼は、あからさまに動揺している。


「今は……他に気になる人いるよ」


「えっ、誰?!」


柑菜は、涼のその相手に興味津々だ。


「教えない」


「櫻子?」


柑菜は、一応と思いその名前を口にする。


「な、なんでだよ」


明らかに顔の赤い涼は、必死に冷静さを取り戻そうとするも、それは柑菜にバレバレだ。
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