ケーキ屋の彼
「せっかくだし、一緒に行かない?」
柑菜は空にそう提案をした。
それに対して空は縦に首を振る。
2人はとりあえず、近くのカフェに行って少し話をすることにした。
みんな最近は大学の試験が忙しくて、ろくに話もしていない。
街中を少し歩いたところで、小さなクリスマスツリーが飾られてある純喫茶に2人は入る。
クリスマスソングが流れていて、店内はカップル率が高めだ。
その中で、顔を見合わせて2人は苦笑いをする。
温厚な顔のマスターにコーヒーを2つ注文した2人は、コートを脱ぎ椅子に座った。
「音楽学部も課題たくさんあるの?」
「うん、作曲は毎回多くの課題を出されて大変だよ」
そういう空だったが、言葉に反してとくに大変そうでもない表情を浮かべながらそういう空に、柑菜はふふっと笑ってしまう。
「美術も大変そうだね、忙しいのか櫻子とも会ってないよ」
「そうだね、いろいろ製作しないといけなくて」