ケーキ屋の彼

「だいぶパーティっぽくなったね」


クッキーを食べながら、部屋の中を見て目を輝かせている柑菜。


いい思い出にきっとなるだろうな、とまだ始まらないパーティのことをそう思う。


「櫻子と涼さんが美術勉強してるからセンスが良くて。僕なんて役に立ってないよね」


冗談っぽく言う空のその言葉に、みんなは笑いを起こす。


「空さんには、パーティ中に鳴らす音楽考えてもらえばいいな」


涼は、自分が褒められたからか、次は空のことを褒めている。


柑菜はそんな2人を見ながら、ほっと安心した。


初めは、なんとなくピリピリとした雰囲気を纏っていた涼だったが、今はそんなことは全くない。


「休憩したら、あとはパーティまでまた続きやろうね」


柑菜はコーヒーを飲み干すと、みんなにそう言う。


みんなは、うんそうだね、と柑菜の言葉に答えた。
< 202 / 223 >

この作品をシェア

pagetop