ケーキ屋の彼
「だいぶパーティっぽくなったね」
クッキーを食べながら、部屋の中を見て目を輝かせている柑菜。
いい思い出にきっとなるだろうな、とまだ始まらないパーティのことをそう思う。
「櫻子と涼さんが美術勉強してるからセンスが良くて。僕なんて役に立ってないよね」
冗談っぽく言う空のその言葉に、みんなは笑いを起こす。
「空さんには、パーティ中に鳴らす音楽考えてもらえばいいな」
涼は、自分が褒められたからか、次は空のことを褒めている。
柑菜はそんな2人を見ながら、ほっと安心した。
初めは、なんとなくピリピリとした雰囲気を纏っていた涼だったが、今はそんなことは全くない。
「休憩したら、あとはパーティまでまた続きやろうね」
柑菜はコーヒーを飲み干すと、みんなにそう言う。
みんなは、うんそうだね、と柑菜の言葉に答えた。