ケーキ屋の彼
「その……柑菜さんはまだ大学生だし、まだまだ早いかもしれないけれど……僕がフランスから帰ってきたら結婚したいと思ってるんだ」
柑菜はその2文字に一瞬驚いてしまう。
――でも、秋斗さんと2人でずっと暮らせたら……きっとその人生は素晴らしいものになるだろうな……。
「はい、もちろんです」
「うん、よかった……でも、もし柑菜さんがほかに好きな人ができたならそれは遠慮しないでね」
「そんなことないです!」
「ははっ、そう言ってもらえるなんて嬉しいよ」
秋斗以上に好きになれる人なんて、きっとこの先はいない、そう柑菜は心の中で思う。
だから、逆に秋斗に飽きられてしまわないように、日本にいる間に柑菜は柑菜で自分の勉強を頑張ることに決めた。
「本当は、告白、もっとあとに言おうかと思っていたんだけど……つい先に話してしまったな」
「そうなんですね、……でも私も今日実は秋斗さんに告白しようとしていて、でも秋斗さんからこんな風に言ってくれて最高のクリスマスの思い出になりそうです」
今日という日を、柑菜は絶対に忘れないだろうなと思っている。
――いつかおばあちゃんになっても、今日のことは覚えていよう。