ケーキ屋の彼
ケーキ屋から秋斗が帰ってくる。
「ただいま」
「おかえり」
秋斗が部屋の中に入ると、その空間はコーヒーの匂いで包まれていた。
「はい、今日のケーキはチーズタルト」
「いつもありがとう」
毎週金曜日の夜、2人の日課。
それは、秋斗の作ったケーキを紅茶やコーヒーとともに美味しくいただくこと。
金曜日のあの日から、2人の出会いが始まった。
だからあの日の純粋な気持ちを忘れないように、秋斗と柑菜は金曜日をお茶会の日に決めたのだ。
そして、柑菜はお茶会の時には必ずこう秋斗に伝える。
「美味しい、さすが秋斗だね」
「ははっ、そんなに褒められると照れるよ。でも、ありがとう」
END