ケーキ屋の彼

「はいっ! なんだか暗くなっちゃった、ほら見て、外も薄暗くなってるわよ」


雰囲気をがらりと変えようと、窓の外を指差して、先ほどとはまるで正反対の表情を浮かべる美鈴。


「飲みに行きましょう、喝入れないとね」


ぱんっと背中を叩かれる涼は、突然のことに目を丸くした。


そして、少し痛いな、と思ってしまう。


美鈴は、涼の肩を抱いて、レッツゴーとドアの方に向けて歩き出した。


「先輩っ、荷物……」


「なあに、ほら、早く取りに行きなさい!」


美鈴から解放された涼の顔は、2つの意味で真っ赤になっていた。
< 41 / 223 >

この作品をシェア

pagetop