ケーキ屋の彼
「はいっ! なんだか暗くなっちゃった、ほら見て、外も薄暗くなってるわよ」
雰囲気をがらりと変えようと、窓の外を指差して、先ほどとはまるで正反対の表情を浮かべる美鈴。
「飲みに行きましょう、喝入れないとね」
ぱんっと背中を叩かれる涼は、突然のことに目を丸くした。
そして、少し痛いな、と思ってしまう。
美鈴は、涼の肩を抱いて、レッツゴーとドアの方に向けて歩き出した。
「先輩っ、荷物……」
「なあに、ほら、早く取りに行きなさい!」
美鈴から解放された涼の顔は、2つの意味で真っ赤になっていた。