ケーキ屋の彼
涼が見た美鈴の横顔は、どこか哀愁を帯びていて、それは1つのものに区切りをつけているように見えた。
しかし、それはもしかしたら自分の願望ではないかとも、涼は思うのだった。
2人は、この賑やかな居酒屋の中で、これと完全に同化してしまえれば楽なのにと感じていた。
食もお酒も進み、最後の締めとして、2人はミニラーメンを注文する。
「ここのラーメン、海鮮系ですごく美味しいのよ」
「そうなんですか」
食べる前から絶賛する美鈴の姿を見て、涼は少しホッとする。
やはり、伏し目がちな目よりも、目力の強くまん丸な目の方が涼は好きだった。
それに、伏したその目は、どこか妖艶な雰囲気を漂わせ、心を乱す。